(3)システム分析とシミュレーション解析


(3)システム分析とシミュレーション解析 自然現象や社会事象を数理モデル化し、

                 数値シミュレーション解析で再現・予測・分析





◎地質・地下水環境解析
a. 飽和/不飽和帯地下水流動解析コードの開発
 地下飽和/不飽和帯での水位変動を考慮した地下水流動解析シミュレーションプログラムの開発

b. 岩盤割れ目のフラクタルモデル開発
 間隙と割れ目が混在する岩石構造をフラクタルモデル化し、ミクロなモデルの連続体でマクロな岩盤を合理的に表現

c. 岩盤浸透流の解析シミュレーション
 間隙と割れ目が混在する岩盤に浸透する緩やかな流れを合理的にシミュレーションするソフトの開発とケーススタディの実施。解析結果は見やすくCG化

d. 地下水汚染物質の拡散解析シミュレーション
 地下水流に沿って汚染物質は広域かつ長期間にわたって土壌環境を劣化させる。多次元空間での物質拡散に確率論モデル(ラグランジェモデル)を適用したシミュレーションにより汚染範囲と進行速度を的確に予測可能。また、産業廃棄物処分問題や農薬散布による地下水汚染問題への発展も期待

e. 地下水環境への影響評価解析
 放射性廃棄物の地中処分に際して、広範囲・長期間の地下水流況と放射性核種の拡散状況を予測するアセスメント業務。深層処分では、イオン交換反応を考慮した化学成分の吸着脱離モデル、さらに地球化学的な観点から複雑なモデル化が必要とされ機能拡張を実施

◎河川流動・防災と水質予測
a. ダム排砂計画の下流水環境影響評価システムの開発
 ダム排砂による河川、平野部の水田、浅海域に至る広域の水質影響評価。予測シミュレーションと図化処理機能をワークステーション上に開発。流況とCOD(化学的酸素要求量、汚濁指標)、SS(濁質濃度)の拡散状況が画面上で一目瞭然

b. 土砂堆積/掃流による河床変動シミュレーション
 行く河の水は絶えずして、河床は同じからず。土砂・濁質の流れと拡散、堆積をシミュレーションし、ダム貯水池や河川流域環境の保全対策を提案

c. 生態系を考慮した湖/河川の富栄養化モデル開発
 都市化が進む水系では生活排水による富栄養化が問題。従来の水理循環モデルに生態系(プランクトン成長、バクテリア分解、栄養塩供給)モデルを加え、さらに整合性を向上。各種河川事業(浚渫、覆砂、導水、下水道事業等)のフィジビリティスタディも実施

d. 堤防決壊による洪水/氾濫シミュレーション
 ダム堤体決壊による下流域への氾濫・洪水シミュレーション。浸水・湛水状況と宅地・耕地・農作物被害を予測

e. 砂防ダム改修事業の影響予測シミュレーション
 山間の砂防ダム吐出口の改修計画、貯水池の流況と水温をシミュレーション予測し改修後の下流水質環境への影響を評価

f. 都市下水道の流動制御
 都市地下を流れる下水道排水ネットワーク。管路内の安定した流れを制御するポンプシステム設計のために開閉水路遷移系の下水道流動シミュレーターを開発。パラメーターサーベイ環境をワークステーション内に実現し、水槽実験と下水道流況を再現予測。台風や豪雨による浸水被害が激減



g. 津波/高潮の河川遡上シミュレーション
 海岸に来襲し、さらに河川を遡上する津波や高潮の危険性と河川事業の経済効果を評価。リーズナブルな河川対策事業として水門建設、護岸嵩上げ、河床改修事業の優先順位決定

h. 耐震水門の運用管理シミュレーション
 地震を感知し自動的に閉門する耐震水門。的確に運用管理するために様々な想定の下、安全性を確認するシミュレーションを実施。本モデルは各種河口堰運用にも適用

i. 都市公園の濠池浚渫の事業効果
 富栄養化が進む公園濠池では、夏場には悪臭が漂い、景観も損なわれている。東京オリンピックを迎えて、水辺環境を改善するために、濠池底泥の浚渫や導水事業による富栄養化対策の効果をシミュレーションで確認

◎ 海洋環境と海岸防災
a. 潮流/恒流の流動シミュレーション
 港内の静穏度を保つための沖合堤防の延伸計画。しかし、船舶の航行保全と湾内水質環境を維持するためには開口部拡張が望ましい。港湾計画外郭施設の最適設計を潮流/恒流が与える湾内流況への影響をシミュレーション評価

b. 波浪の回析・屈折・砕波シミュレーション
 発電プラント周辺の船舶泊地域での不規則波の複雑な挙動をシミュレーション。任意の入射波高、波数と波向に応じた構造物回りの有義波高分布をワークステーション上にビジュアライゼーション

c. 閉鎖湾/汽水湖の海水交換シミュレーション
 汽水湖の開口部に防波堤を建設。閉鎖形状の湖内海水交換率の劣化が湖内カキ養殖へ与える影響を水質シミュレーション予測。

d. 波浪推算によるマリーナ立地評価
 過去の気象データを基に季節風による波浪発生と湖面の静穏度を予測し、計画中のマリーナ建設に最適な立地ポイントを指摘

e. 水門自動操作のための理論潮汐予測シミュレーション
 水量豊かな河川では、潮汐・高潮に応じた水門開閉操作が必要。水門自動管理をサポートするために、21世紀以降の潮汐変動を理論的に予測するシミュレーションソフトウェアを開発。精度は潮位観測値±0.1m以下を確認

f. 2次元密度成層の再現予測シミュレーションと可視化
 大気との熱収支や水温躍層の成立過程、深層取水の最適な方法を鉛直2次元流動モデルの開発適用により的確にシミュレーション予測

g. 3次元海域流動シミュレーション
 スーパーコンピューティングが提供する処理性能向上と記憶容量増大は3次元領域での流動シミュレーションを可能とする。複雑な境界条件モデル化と水深毎の流況と物質拡散をビジュアルに予測

h. 津波入射による冷却水システムの水撃解析
 津波による急激な水圧変化がプラント冷却水システムの管路系へ与える影響を予測し、サージタンクの設計仕様を決定

i. 津波に対するプラント等海岸構造物の安全性評価
 津波の遡上モデルによる海岸浸水域の予測、津波段波の動水圧に対する外郭施設の安全性を定量的に評価。沖合防波堤/ケーソンブロックが波高と波圧分布に応じて転倒するのか?滑動するのか?を判定

j. 津波シミュレーションと沿岸家屋/人的被害等の想定評価
 東海地震や東南海地震の再発生と巨大津波の襲来。シミュレーションモデルによる沿岸での挙動予測と被害シナリオ想定。近代社会の安全性と防災対策を客観的にチェック

k. 海岸防災計画の策定支援と避難マニュアル作成
 避難対象地区におけるハード対策とソフト運用計画を多面的に検討し、人命優先と資産保護のための地域防災計画を策定

l. 長周期波の堤防越波量/湛水量の算定評価
 緩傾斜海岸での勾配毎の浸水遡上距離のシミュレーション予測に加えて、堤防護岸に対する越波量、背後地の湛水量、胸壁に設置した陸閘門を経由する浸水域を波高と周期をパラメータに数値予測

m. 大型プラント立地に対する周辺海域環境アセスメント
 大型プラント建設計画に際して浅海域の流動や水質環境が変化する。大規模流動シミュレーションと水温分布、水質変化を予測するモデル適用により広域環境アセスメント実施

◎大気環境と気象解析
a. 大気汚染解析モデルの開発(実地形/風洞実験)
 火力発電プラントや焼却プラントからの煤煙の広域拡散をラグランジェモデル適用によりシミュレーション予測。気象条件に応じた汚染区域を可視化し、風洞実験や実地形での検証を支援

b. 海陸風のシミュレーションモデル開発
 鉛直2次元大気循環モデルを適用し、海洋と陸域での温度較差を境界条件に海陸風の様相を再現。風速分布を可視化し、風向の周期的逆転現象を表現

c. ヒートアイランドによる都市気象の解析評価
 都市圏の拡大に伴うヒートアイランドの形成。鉛直2次元大気循環モデルと気温分布モデルの併用により、地面での熱収支が形成する地域温暖化現象を予測。都市緑化の影響を定量的に評価

d. 気象/海象の熱収支を考慮した密度流モデルの開発
 大気との熱収支を季節的にモデル化し、夏季の温度躍層と密度流を予測シミュレーション。海底からの湧昇流や潮目、死水域等の再現予測にも発展可能

e. 水蒸気/雲水/雨水の生成を含む気象解析モデルの開発
 地球温暖化防止の一環として開発された気候予測モデルでは、水蒸気/雲水/雨水の生成が大きなテーマ。鉛直2次元大気循環モデルに雲の生成過程を組み込んで気象解析モデルへと機能拡張